恋のカルテ
「おい、高原」
いきなり背後から名前を呼ばれてビクッと肩を震わせた。
その声の主が誰かだなんて、振り返らなくても分かる。
何て最悪なタイミング。
そう思いながらしぶしぶ回れ右をする。
「なんですか、佐伯先生」
「今日はもう上がりだろ」
「はい、そうです……けど」
私がそう答えると、佐伯先生はさも満足げにほほ笑む。
……いやな予感がする。
「うん。じゃあお前にこれあげる」
はい、とプリントを差し出され、思わず受け取ってしまった。
仕方なく目を走らせるとそこには院内講演の文字。