恋のカルテ
「ごまかさないでください」
「悪かったよ。オレにもいろいろあるんだ。許してくれてもいいだろう」
「……許せません」
だって、先生のせいで私は家に帰るのが遅くなった。
だから圭人を怒らせてしまった。
もし、講演会に出なかったら、早く帰っていたら、圭人が別れを切り出すことはなかったかもしれない。
「だって、先生の嘘のせいで帰宅時間が遅くなって、私は恋人にフラれたんです。どう責任取ってくれるんですか?」
「……なにいいだすんだよ、それってオレのせい?」
「そうですよ、先生のせいです」
本当はそうじゃないことくらい、自分でも分かっていた。
今日の出来事は、単なるきっかけに過ぎないのだ。
いつかはこうなる運命。
でも、今の私は誰かを責めずにはいられなかった。