恋のカルテ
「高原お前な……って、あれ? それ、どうしたんだ」
先生はいいながら私の頬に触れた。
さっきからずっと右側を隠すようにしていたけれど、見つけられてしまったようだ。
「なんでもありません」
「なんでもないわけがないだろう」
傷を確かめる様に触れられて、思わず顔をしかめた。
「痛いのか。すぐ処置室に……いや、そう言う訳にはいかないか」
佐伯先生は何かを考えるそぶりをしてから私の腕を掴んだ。
「行くぞ、高原」
「え? 行くって、どこへ……」
「いいから黙ってついてこい。責任でもなんでもとってやるから」
私は何も知らせられないまま、職員駐車場まで連れてこられてしまった。