青に呑み込まれながら、ひたすら君を想う訳。
空気を読んでか、その場を立ち去る友達に申し訳なくなりながら、背の高い棗を見上げる。
「格好、良かった」
「ありがと・・・・・・やべ、照れるわ」
ちっちゃく笑いながら呟く私の言葉に、くしゃっと顔をほころばせる棗。
・・・・・・嬉しそうな顔。
「じゃ、お疲れ様。帰るね」
その脇を通り抜け、もうすぐ来る電車に間に合わせようと歩き出そうとした。
――――瞬間、だった。
日に焼けた手首を、少し冷やりとした手が掴む。
困ったように微笑む棗は、逆行のせいで細かな表情は見えなかったけれど、何か言おうとしているみたいだった。