青に呑み込まれながら、ひたすら君を想う訳。
私を見る瞳に、またチラと青が過ぎる。
・・・・・・また、青だ。
また、青なんだ。
「どうしたの?」
あえて笑いながら、私は小さく首を傾げる。
短く切った髪が、首を掠ってサラリと揺れた。
「えっと、あの、さ――――」
あんたの目には、いつだって青い水しか映らないんだもんね。
空の下の私の姿なんて、もう映らないんだよね。
いや――――
映った事も、無かったか。
たったの一度も、後ろを追い駆けるしかなかった私の姿を、棗は見たことなんて、無かったもんね。