青に呑み込まれながら、ひたすら君を想う訳。
『一位----高校二年、高杉棗君』
静かなアナウンスが、一位でゴールした棗の名を呼んだ。
・・・・・・笑顔で帽子とゴーグルを外す棗。
叶うわけ、ないよね。
あの青に、棗は魅せられている。
叶うわけないよ、そりゃあ。
だって――――
「亜子?」
「だって、こんなに綺麗なんだもんね」
空の青さとも、スパイクの青さとも、何とも違う青。
棗の見る景色を、初めて見て――――もう、笑うしかなかった。