青に呑み込まれながら、ひたすら君を想う訳。
ぼんやりと、他の人が泳ぐのを見つめた。
泳ぎきった後、笑った棗の顔を思い出しながら、知らない間に棗が遠かった事を思い出す。
・・・・・・陸上の時も、追い付かなかったな。
何をしても、どれだけ追いかけても――――
棗は、いつも私の一歩も二歩も、もっと先を駆けていく。
「亜子、ねぇ亜子!終わっちゃったよ?」
「ホントだ、帰ろっか」
鞄を掴みながら、ゆっくりと立ち上がる。
不思議そうな顔をしながら私の隣を歩く友達が、外へ出た瞬間に、あ、と小さく声を上げた。