A voiceprint
 同じことを考えていたのは多くのファンだってそうであり、実際発売されるとネット情報では曲と歌詞のギャップがたくさん取りざたされていた。
 女子高生仲良し四人組も揃って唯の家で話をしていた。 
 「良い歌じゃん。」
 「なんか切ない歌詞じゃない?」
 「だから悲しみの歌なんじゃん。」
 「でも明るい曲だから気になんないよ。」
 「ま、いっかぁ。」 
 全員雑談をしている中でそれぞれの思いを語っていた。

 一方、病室で翔二が持ってきた新作CDに耳を傾けていた月子もちょっと不満そうな顔をした。
 「何かこの歌好きになれないなぁ。」
 「月子もそうかぁ。俺もなぁー。」
 「何か、悲しみの歌って言うか、絶望の歌って感じじゃない?」
 「うーん。やっぱそうか・・・。」
 「ま、こういう歌詞の時もたまにはあるのね。曲調は明るいけど。」
 「兄貴も今回は曲先行の歌って言ってたから、まぁいいかなと・・・。」
 「そう。」 
 遠くを見ている感じ。

 「悲しみの歌・・・か。」
 月子はそう呟いてまた聞いていた。

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