A voiceprint
 学校から家に着くと唯はソファーで一時仮眠を取った。夜更かしをするために昼寝というか夕寝であるが、夜もいい頃になって8時ごろになると姉の舞が芸能キャスターの仕事を終えてまっすぐに帰ってきた。
 唯は舞が帰ってきたドアの開く音でちょうどよく目覚めた。

 「ただいまぁ。・・・って寝てたか。」
 「あ、お帰り。」
 
 すると唯は興奮気味でnatuのコンサートのことについて話し出した。
 「お姉ちゃん。次の木曜日、natuのシークレットライブ行くんだ。」
 「へぇー。どうしたの?」
 「あのライブ4人みんなで応募したって言ったじゃない。で、静子が当たったんだー。」
 「へぇー。良かったね。」
 「うん。」
 「本当に好きだもんね。」
 「チョーラッキーだよ。もしかしてお姉ちゃん、シークレットライブのニュースとかする?」
 「ううん。だってよく知らなかったし、どっちかっていうと芸能人のゴシップネタの方が圧倒的に多いもん。」
 「ふーん、そう。・・・で、ママは?」
 「まだ帰ってこないけど。」
 「じゃあ、先お風呂入ったらご飯作るね。もしかしてもうご飯ある?」
 「ないなぁ。またママ帰りがけに買ってくるって言ってたから、もうちょっと待ってたら?」
 「そう。じゃ、とりあえずお風呂入るね。後でシークレットライブのこと詳しく聞かせてよ。」
 「OKお姉ちゃん。じゃ、どうせママまだ帰ってきてないしとりあえずパパーッと宿題やっちゃおうかな。」
 
 舞はソファーでかばんを開けて宿題のプリントを取り出した。普段は宿題を好き好んでやらない舞も今日はやる気まんまんで宿題をかたずけていった。

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