A voiceprint

2 はめられた黒川晋

 翌日、黒川逮捕の記事がとあるスポーツ紙の朝刊を飾る。それを見た人々の冷ややかな反応がわかる。ニュースにもすぐさま出てしまう。
 
 「yumikaさんを輩出した音楽プロデューサーである、黒川晋氏の逮捕に多くの関係者はとまどいを隠せません。」
 番組のアイドル芸能レポーターである小阪舞がレポートする。
 
 渋谷の街の大型モニターにも報道されており、小阪舞の妹、結をはじめとする仲良し高校生四人組の会話も聞こえる。
 「えっ?ねぇねぇ黒沢晋逮捕だってよ。」
 「うそぉっ!何、やっちゃってるわけ?」
 「何か、くすりっぽいよ?」
 「外人に買ったんでしょ。さっきもお姉ちゃんがニュースで言ってたよ。」
 「それって、ヤバイっしょ。」
 「マジで?」
 「ちょっと幻滅・・・」

 他にも街の中には、黒沢の逮捕について喋っているカップル・友達など若者の多くから歩きながらの会話が聞こえる。
 「黒川も堕ちたなぁ。」
 「っていうかyumikaやばくない」
 「黒川の時代は終わったな。」
 「これだから、天才の考えることはわかんないよな。」  

 想像以上に社会への影響は大きかった。そしてその矛先はまず人見知りの激しいyumikaに向かった。

 yumikaもホテルでニュースを見ていて、初めて気づく。
 「誰も昨日教えてくれなかった。どういう事なの?」
 
 すぐに何も持たずに部屋を飛び出した。
 
 しかしホテルから外に出ると大勢のマスコミがyumikaを待ち構えていた。yumikaは初めて誰も自分を守ってくれない状況で立ち尽くしてしまった。

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