A voiceprint
 2日後。黒川は釈放された。あいかわらず待ち構えている報道陣をふりきり黒川はタクシーに乗り込み逃走した。そしてタクシーを降りて事務所に着くとすぐさま笹野の元に行った。そこには良太もいた。 

 笹野は興奮した様子で黒川に話をする。

 「何てコトだい。」
 「僕がやるわけないって、笹野さんならわかるはずだ。」
 「ですよね先輩。そうですよ。やっぱり警察は勘違いをしているんですよ。」
 「本当に誤解なんだよな。」
 「ああもちろんです。しかし何故か私の家にその物的証拠があるらしくて・・・また呼ばれるでしょうけどね。」
 「私たちはどうすればいいんだ。」
 「とにかく疑いを晴らさないと。」
 「だな。とにかく私たちはお前を信じるしかないだろう。・・・だがな晋、実はそれどころじゃないんだよ。あの日以来yumikaがどこかへ消えてしまった。」
 「えっ?」
 「どうしたもんだか困ってるんだよ。」
 「そんなの、どうするも何も探すしかないでしょう。」
 「僕たちもいろいろと当たってみたんですけど、見つからないんですよ。」
 「じゃあ私が探してくる。」
 
 黒川はすぐさま机の中から貴重品を取り出し部屋を出て行く。
 
 「黒川さん。」
 「晋!」 

 黒川が去った後、笹野は歯がゆい気持ちで仕方なかった。

 黒川は自家用車を出してすぐさま乗り込んだ。yumikaがいるのは二人しか知らない場所、きっとそこにいるに違いないと確信していた。

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