楓先輩大好きです!!!!!!
             楓side

 「きゃ~~~♡楓先輩かっこいい~♡」


 練習が始まると女子の悲鳴に似た声も始まる。


 練習に集中したい俺はその声が本当に嫌いだ。


 だから女子は嫌い。


 1人をのぞいて。


 ドッデーーーーン!!!!!!


 毎日聞く誰かのすっころぶ音が体育館中に響き渡る。
  

 と、同時に体育館中に皆の笑い声も響き渡る。


 「楓~~。みずきちゃんまた転んでるよ?」


 颯が笑いをこらえて俺に言ってくる。


 そう。


 毎日すっころぶ奴の正体はマネージャーの相川みずき。


 バスケ界ではすげー選手で有名だった。


 でも、膝の怪我でバスケは出来なくなった。


 そんなみずきが男バスのマネージャーをやりたいっていって一番に賛成したのが……


 あいつの幼なじみの圭太って言う一年だった。


 「うん……捕まっていいから早く追い払って。」


 俺は無意識のうちにみずきに手を差し伸べていた。


 みずきは目を見開いた。

  
 まるで、珍しいとでも言うように。


 みずきが俺の手を掴んで立ち上がった。


 みずきは力をあまり出さなかったのか、俺にはみずきの体重が風のように思えた。


 「ありがとうございます。」


 そう言って礼をするみずきに背を向け練習に戻った。


 なぜか圭太が俺の事を睨んでいた気もした。

 
 が、考えないことにした。



 
 
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