【完】 Squall ~いくつもの恋をして~
「タクシーに乗るから大丈夫」
Kennyからバッグを取り返そうと手を伸ばすけれど
取られないように後ろへ隠し
「膝まで雪が積もってるからタクシーも来ないよ」
なんて意地悪い顔で微笑んだ。
大雪まで降ったらしいことにもまた笑いで身体が震え
「え?あははは。雪の中を歩いて帰るのもまたいいわ」
Kennyに背中を向けて歩きだすと
「Lizが肺炎になったら心配だ」
そう言って右手で私を抱き寄せた。
「また明日話しましょ」
グッと両手でkennyの胸から逃れようと押したけど
「やっと会えたのに僕を残して死んだらどうしてくれるの」
せつなそうな瞳で私を見つめ
「そんなに外は寒いの?」
私もkennyを見つめ
「あぁ。とてもLizを帰せない」
その言葉とともにバッグをソファーへポンと投げると両手で私を抱きしめた。