【完】 Squall  ~いくつもの恋をして~



「タクシーに乗るから大丈夫」


Kennyからバッグを取り返そうと手を伸ばすけれど


取られないように後ろへ隠し


「膝まで雪が積もってるからタクシーも来ないよ」


なんて意地悪い顔で微笑んだ。


大雪まで降ったらしいことにもまた笑いで身体が震え


「え?あははは。雪の中を歩いて帰るのもまたいいわ」


Kennyに背中を向けて歩きだすと


「Lizが肺炎になったら心配だ」


そう言って右手で私を抱き寄せた。


「また明日話しましょ」


グッと両手でkennyの胸から逃れようと押したけど


「やっと会えたのに僕を残して死んだらどうしてくれるの」


せつなそうな瞳で私を見つめ


「そんなに外は寒いの?」


私もkennyを見つめ


「あぁ。とてもLizを帰せない」


その言葉とともにバッグをソファーへポンと投げると両手で私を抱きしめた。







< 125 / 453 >

この作品をシェア

pagetop