【完】 Squall  ~いくつもの恋をして~




「名前知ってたのにって思うだろ?」


顔に書いてあったのかなと思うほどの図星。


ひとつ頷けば


「最初は、あれ…聞いたことがあると確かに思った」


そのあとで恥ずかしそうに


もし聞いて違いますって言われた時の事を想像してみろ。


一緒に仕事をするのも耐えがたいなんて笑っていて


こんな再会があることが奇跡だって笑う。



そうかな、そうかなって思っても確かに言いだす言葉も考える。


そうだってわかった後でも言葉に困る。


大人になりすぎて逆に言いだす勇気を失い


疑惑は疑惑のままでも


急がなくてもいつかわかればいいとそう感じていたのかもしれない。


そのくらいの長い年月が私たちの間には流れた。





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