【完】 Squall ~いくつもの恋をして~
解決しなければと思ってもなかなかその状況がやってこない。
どうにもこうにもあの冷たい視線にひるんでしまうからだ。
そうこうしている間に課長との冷戦状態は解決を見い出せないまま夏休みが来た。
ボストンへ行けば良かったかな…
呟きながら手にしているのは、
顔を見せなさいという両親から送られてきたチケット。
本来であれば実家という名のあまり思い出のない家。
今はビザから永住権へと変わりシカゴでの生活を送る家族。
父も母も日本へ戻る事は諦めたのか何なのかアメリカの地に足をつけていた。
あまりに長すぎると懐かしさはあれどアメリカでうまれた友情の方が多くなる。
父を海外転勤へと長年異動し続けた会社を辞め
シカゴにある企業へと転職していた。
新しい人生を歩き始めた父。
もうここから動かないと嬉しそうな顔だったのを覚えている。
そして祖母が亡くなってから日本へ戻りたいと言わなくなった母。
だけど市民権を取得していないのは、日本に戻りたいと思う日が来るかもしれないという予防線らしい。
弟は市民権を得ると言っている。
そうなればわが子でありながら国籍の違う子になる。
そして弟は選挙権を得る。
私も当然市民権を得ようと思っているがわが子が2人とも国籍が違うというのは可哀想な気もして言いだせない。