【完】 Squall  ~いくつもの恋をして~



英会話なんて子どもだって簡単には覚えない。


違う生活に戸惑いだってある。


「Liz」


近くに住むおばあちゃんとはいつも笑顔だけの会話だった。


話しかけられても笑顔で答えることしかできなかった私。


それが急に違う名前で呼ばれて


「りさなのに…」


訂正すら出来ずに困惑して泣きそうな私に


「Lisaのニックネームだよ」


そう教えてくれたのもkenny


「ぼくも、ケントだけどkennyって呼ばれてるでしょ」


「うん」


「仲良くなりたいんだよ。Lisaが可愛いんだよ」


そう言ってくれたのがkennyだった。


それからは、子どもながらに一生懸命ボディーランゲージでおばあちゃんに伝えた。


ジェスチャーと言った方が正しいと思う。


伝わっているかどうかっていう事より


アメリカの人に受入れられたって気持ちが嬉しくて


私なりの愛情表現だったように思う。





< 27 / 453 >

この作品をシェア

pagetop