【完】 Squall  ~いくつもの恋をして~



私の思いは溢れだした。


ボートワインとチョコレート。


課長の甘い囁きで今の私は極上に甘いはず。




だけどスコッチを飲んでいた課長の方が甘い香りを漂わせるのは


色気を含んだ目もとなのか。


私を酔わせる言葉を紡ぐ薄い唇のせいなのか


それとも艶のある声のなせる技なんだろうか。



理由なんて何でもいい。



ブレーキも効かず完全に恋に堕ちた。





グラスの中でルビー色に輝くポートワイン。


役目は終わりともう私に飲む隙すら与えない。




権限は職場も今も課長の手中だ。






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