【完】 Squall ~いくつもの恋をして~
「今は?」
「全部自分」
「日本へ来ていきなりそれじゃきつかっただろ」
「だけど、遊びに使う事がなかったから」
そっと私の肩を抱く課長の手がいつもよりもっと優しく感じる。
でもその時にちょっと思った。
バイトしながら3年で卒業してMBA?
どんな頭してるんだろ…
目的を持って過ごす大学生活と目的なく過ごす大学生活。
私はその地を離れない事がひたすら嬉しい生活だった。
成績も決して悪くはなかった。
むしろ親友たちよりは良かった。
だけど4年行けるところを3年で終えようという選択肢は微塵もなかった。
長ければ長いほどいいと思うほど同じ地で生活をする事が嬉しかったからだ。
「理沙には必要な4年間だったと思うよ」
私の心の中を見たように課長に言われ
「うん。私の人生には必要だった」
課長の肩にもたれ小さく呟いた。