【完】 Squall  ~いくつもの恋をして~



どのぐらい泣いていたんだろう。


部屋の中にスマホのバイブ音が鳴り響き


チェックインの時にクーポンを見せてから電源を落とすのを忘れていたことに気づいた。


起きあがり画面を見ればkennyから。



彼に心配させるのは、間違っている。



受話ボタンを押すと


「Liz!What's the matter?」(リサ どうした?)


「Where are you now?」(今どこ?)


Kennyの声にまた涙が零れおちそうになる。



「Don’t worry.」


その言葉を吐き出すと心を落ちつけるように日本語で


「何も聞かないで。気分転換に旅行に出ただけだから」


無言の時間が流れたあとでSalaさんが電話に出た。



「トモダチ イツデモチカラニナルヨ」


約束通りカタコトの日本語で話すSalaさんは一番落ち着いていて


「ありがとう」


「ナニモキカナイガイイ?」


「うん。何も聞かない方がいい。」


正しい日本語で答えるとクスッと笑った。


「OK マッテルネ」


「うん」


「Lisa I love you」


「I love Sala, too. thanks」



電話口で、SalaさんとKennyの英語のやりとりが聞こえ


Kennyを嗜めるSalaさんの言葉のあと電話が切れた。


言い合いは英語じゃなきゃ勝てないよね…。


そんなSalaさんも開いた傷口にまた薬を縫ってくれた。






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