【完】 Squall  ~いくつもの恋をして~



それでもやめるわけにはいかない。


心の整理をしようと箱根にきたのに


これじゃまた傷口から出血してしまう。


押し続ける私の腕が動けなくなるほど左手のホールドが強くなり


慣らされた課長のキスは甘い時間を呼び起こす。


入れろと言わんばかりの課長の舌が何度も私の歯列をなぞり


息苦しさから呼吸のために口を開けばここぞとばかりに入りこむ。


俺のペースだもう逃さないと私の舌に挑発をしかけ


甘い罠へと誘っていく。


嫌いになったわけじゃない傷ついただけ


そんなわたしは罠にやすやすと嵌りこむ。


逢いたくて恋しくてだから悲しくて傷ついた。


悲しい気持ちは全部抜け落ちてしまうぐらい


課長の激しくも優しいキスに溺れた。






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