【完】 Squall ~いくつもの恋をして~
再び消えてしまいたくなり後へと身体を引いた。
だけど逃がすわけないだろうと頬に添えられた手に力が入り
課長の本気が身体に伝わる。
「理沙が悲しむような事は絶対にしない」
「もう十分悲しみました」
涙を零しながら訴える私に
ハァツーと大げさなぐらい大きな溜息を零し
「いいか聞け」
真剣な眼差しで見つめる課長の視線が痛いほどだ。
長くて綺麗な指先が私の涙を優しく拭き取り
また溢れれば唇で吸い取る。
大好きな課長の瞳にわたしが映っていると思う。
今は大好きな優しい瞳なんだろうか。
ぼやけてちゃんと見えないのが悲しい。