【完】 Squall ~いくつもの恋をして~
ミーティングが終わりデスクに戻ろうと歩いていると
「浅木」
課長に呼ばれた。
「はい」
課長の傍へ駆け寄ると
「ボストンからだよな」
「はい」
「英語は問題ないってことだな。どのぐらいいた?」
「小学校1年から大学までずっと海外です。日本語の方が未だ怪しい」
少し顔を歪めた私を見ながら楽しそうに
「その気持ちは俺にもわかる」
「海外が長かったんですか?」
課長の顔を見つめた私に聞こえてきたのは
「日本に住んでいたのは生まれてからの1年と小学校の2年間だけ」
吹き出しながら教えてくれた。
「日本人であって、日本人じゃないのはお前だけじゃない」
メガネの奥の瞳が優しく微笑んだ。
私は小さく「はい」と返事をして仲間が出来たような安心感。