【完】 Squall ~いくつもの恋をして~
「何笑ってるの?」
みやちが黒卵を先輩に渡し
「あさりからのお土産です。1こで7年寿命が延びるらしくてここで働くには必要な卵だって。しかも旨味成分が20%高いとか説明始めるから可笑しくて」
「しっかりデータとってきたな」
「いや、ここに書いてある」
袋を見せると笑いながら
「読めたんだ」
「読めますよ」
膨れながら睨めば
「この卵の殻を剥いたら浅木のおでこみたいにツルツルってしてんだろうな」
「ちょ…それけなしてる?」
「綺麗な肌だって褒めてんだよ。日本はこれが褒め言葉だ」
「絶対嘘だ」
大笑いしながら高木先輩がデスクの上に置いた黒卵を見てクスッと笑った。
みやちは反対側の北田先輩にも
「あさりから7年寿命が延びるって」
同じようにデスクの上へと置いた。
だけど「おい浅木?黒い饅頭はさすがに美味そうには見えないぞ?」
その声でフロアの中は大笑い。
「だって珍しいもん」
「まぁな」
「洗顔石鹸も真黒なの」
「それで洗うと顔が真っ黒にならないか?」
「そうなの?黒くつく?」
みんなは笑いながらいつもの業務へと入って行った。
心配になりネットで検索すると泡立っているのは白い泡。
「みやち…泡は白いよ安心した」
横で身体を震わせているみやちを視界に入れないようにして
私も仕事を始めた。