【完】 Squall  ~いくつもの恋をして~



両手で涙を拭き


「まだ1カ月はあるから明日も明後日も出勤するし」


私が笑えばみんなも笑う。


「英語憶えてるか微妙だ~。」


「だな。お前 oh my godじゃなくて日本語だった」


「やばいね。また1からか」


とっさに英語が出てこなくなってきていた。


今はもう使用頻度の差が英語より日本語だからだ。


忘れないのは、英語の飛び交う仕事であることと


Salaやボストンの親友たちとの会話があるからなのかもしれない。


何より英語を覚えたいみやちが隣にいたからだ。


みやちに教えながら本当は私が助けられていたんだと思う。


Kennyは、Salaがいなかったらやばいって笑った事を思い出した。


あんなに苦労して憶えた英語がとっさに出てこなくなるように


こんなに苦労した日本語もまたボストンへ戻れば元の状態になるのだろうか。



「あさりは英語を話せる日本人だ」


「うん」



みやちのその言葉はとっても嬉しくてまた涙が零れた。





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