【完】 Squall ~いくつもの恋をして~
だけど課長の口から笑顔の私に次に紡ぎだされた言葉は
「 I wanna marry you」(理沙と結婚したいんだ)
頭の中が真っ白になるのは本日2回目。
突然の言葉に私の手からグラスが落ち
テーブルの上へビールが流れだす。
呆然とする私の涙の代わりにポタポタと床に落ちるのは麦色の滴。
「おいっ。」
慌てて立ち上がりグラスを起こし
クロスで拭いた課長が跪き私の両手を握ると
「別れる気なんてないから。このまま終わる気なんてまったくしない。日本にいてもボストンに行ってもだ」
私の頬にキスを落とし
「ボストンへ帰って生活をしてそれでも理沙の気持ちが変わらなかったら…。
いや、俺はいつになっても理沙にNoなんて言わせるつもりは少しもないよ。いつでもI love youって微笑めばいい。そしたら Will you marry me?って片膝ついてプロポーズするから。その答えもYesだけだ。Yes I will ってキスをすればいいんだ」
動き出せずにいる私にクスッと笑いながら
「俺がボストンに戻る。何年先かわからないけど、必ず戻る」
その言葉には静かに頷き課長の胸で涙を零した。
自分で決めるべき事は私へと委ねて受入れるのに
あくまでも決定権を握った課長の言葉が私に安心感を与えてくれた。
別れなくてもいい。
大丈夫。きっと続けていける。
そう思わせてくれる言葉だった。