【完】 Squall ~いくつもの恋をして~
その日は、いつもの何倍もお互いメモを使った。
今までは自分でも調べたりしていた事すら
すぐに聞き合い、記録を残すかのようにメモに書く。
教えてあげられる事はないか
伝えてあげられる事はないか
残された時間を惜しむかのように何度も何度もペンを走らせた。
課長にはみやちが心配していた事をメールで伝えた。
出勤してきたみやちの顔をみてそれは理解していたようで
今夜、もうひと頑張りするか
そんな文章に大笑いした。
それは、みやちにきちんと話しをしようという事だ。
出来ればどちらもすぐにベッドへと潜り込んで眠りたい。
それはみやちも同じだろう。
だけど、瞼がくっついてしまうその瞬間の前に
きちんと伝えたいという気持ちは私も同じだ。
「みやち」
スマホを見た後で声をかけただけで
「週末で良かったぜ。平日なら辞退してぇとこだ」
吹き出しながら了承してくれて
定時少し過ぎまで仕事に没頭した。