【完】 Squall  ~いくつもの恋をして~



「Kennyって課長だったの?」


「え?浅木さんのkennyって課長だったの?やだすごい」


「課長?まじっすか?浅木と付き合ってたんですか?」


「Say Yesは何?プ…プロポーズの返事?」


そんな事を言われ続けている姿を想像して私は口元が緩む。


そして間違った祝福に赤面している私を想像して課長も口元を緩めていると思う。




もう、私たちは同じ部署ではない。


遥か遠い地で働く恋人同士だ。


私を送り出したのも課長で


私が待っているのも課長。



ううん、もう元上司でこれからは愛する人としてだけ。


習慣となった課長と呼ぶのも次第に消えていくだろう。




日本の女の子も飲み会の時は熱烈なモーションをかけるから


ちょっとした虫よけ。


離れていても 私だけのkenny 


私には、キャリアアップ以外の事は考えるな。


俺がいくまで脇目も振らず仕事しろって釘をさされた恰好。


心配しなくても大丈夫なのに。



歩きながら走馬灯のように流れる日本の日々を思い出し


それがすべていい思い出だから私の顔は微笑んでいると思う。




もう振り向かない。


前だけを見てボストン行の便に搭乗した。




大人になれば永遠の別れにするかどうかは自分次第。


みやちとは絶対にきれない。


そしてやっと再会した初恋のKennyともSalaとも


私は永遠の友としてこれからも繋がり続ける。




課長、ううん。


私の大切なkennyとはこの先の人生をどこまでもどこまでも


手を繋ぎ歩いでいけるはず。


心だけは誰よりも傍に寄りそいながら。



今よりずっと素敵な女になっていたい。





「I'm home!」




そう言って彼の優しい瞳に私が映る日を待ちわびながら…。






Squall


~Fin





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