【完】 Squall ~いくつもの恋をして~
スーツに真っ青のカラーシャツでの初出勤
ボストンにいる親友たちと同じ決意を分かち合う意味で
お揃いで揃えたマリンブルーのシャツと黒の細身のパンツスーツ
小指にはめたのはカレッジリング
170cmの私にはそれなりに似合うと大満足で挑んだ。
「度胸あるな」
いきなりかけられた言葉に困惑。
「What?」
「シャツだシャツ」
見回せば全員が揃いもそろって白のシャツ
「Oh my god!」
小さく呟く私に不審な顔をしながらも
「日本人じゃないのか?」
「日本人だけどずっと海外だった」
あぁというように理解してくれた男は
「日本は白だ白」
「そうなの?これダメ?」
「お前には似合うけど新人はなおさら白だ」
「やっちゃったか」
「似合うのにもったいねぇな」
言葉のあとでチラリと視線は私の指に。
視線の先はカレッジリング。
指をさせば頷いているから外した方がいいらしい。
淋しさを感じながらスーツのポケットへしまいこんだ。