委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
「安心して? わたし達にはなんにもないから。単なる知り合い」

「そうですか……」

「この人、薬飲んだし、熱も下がってるから、何もやる事ないと思う。起きたら何か食べさせてくれる?」

「はい、わかりました」

「じゃあ悪いけど、後をお願いします」

「はい」


「あ、そうだ」

 マコトさんはいったん行き掛けて、何かを思い出したように私を振り返った。


「お母さんは早めに戻るそうだから」

「相原君のお母さんですか?」

「もちろん。患者さんの容態が良くないとかで、休暇中なのに病院へ行ってるのよね」

「そうなんですか。それは大変ですね」


 お医者さんのお母さんって、相原君のお母さんだったんだ。すごいなあ……


「だから、あまり長居しない方がいいよ」

「はい?」

「鉢合わせしたくないでしょ?」

「そ、そうですね」


 確かに、いきなり相原君のお母さんと対面、というのは避けたいかも……


「じゃ」


 と言ってマコトさんはマンションを出て行った。

 マコトさんって、不思議な子だなあ。今までに会った事がないタイプかも。

 ……あれ?

 “マコト”って名前、どこかで聞いた事があるような……
 知り合いに、同じ名前の人はいないはずだけどなあ……

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