委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
 悠斗は髪を栗色に染めていたし、もう少し長く伸ばしてたから、見た目はだいぶ違うのだけど、触った感じはよく似ている気がするわ……

 相原君の髪を撫でながらそっと目を閉じると、悠斗との事が甦るようだった。私の胸に顔をうずめたまま、寝てしまった悠斗の髪を、こうして撫でたのは何度ぐらいあったかしら……

 などと淫らな事を思い出していたら、


「き、桐島さん!?」


 相原君が起きてしまった。


「あ、ごめんなさい。髪の毛に寝癖がついてたから……」


 私は咄嗟に思いついた言い訳を言いつつ、相原君の頭から手を引っ込めると同時に、彼から体を離した。

 今の言い訳で、うまくごまかせたかしら……

 私は、内心ドキドキしながら相原君を見てたのだけど、彼は焦点が定まらないような目をして、ボーッとしていた。私の言い訳を信じる信じない以前に、彼はまだ完全には目を覚ましていないみたいだった。


「桐島さんは、どうしてここに……?」


しばらくして、彼はもっともな疑問を投げ掛けてきた。ようやく完全に目が覚めたみたい。

 一方私は、いくら頼まれたからとは言え、男の子の部屋に上がり込むのはどうかと思うし、しかも寝込みを襲うような事までして、なんて恥ずかしい事をしてるのかしら、と反省し、


「呼ばれたの。マコトさんという人に。それで、来ちゃった」


 “笑ってごまかす”ではないけれど、私は言ってからチロッと舌を出してみた。私なんかがそんな事しても、ちっとも可愛くないのだけど。

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