委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
 部屋と同じで、真新しく綺麗に整頓されたキッチンへ行った私は、レトルトとインスタントにして正解だったなと思った。だって、電磁調理器って使った事ないから……

 電子レンジの使い方はなんとか解り、お湯も湧かせたし食器も見つかった。あっという間って程ではないけど、割とすんなり出来た2人分のお粥とスープを四角いトレイに乗せ、それを持って私は相原君の部屋へ戻った。

「おまたせ……」とか言いながら、ちょっとハイな気分で。


 相原君が選ばなかった方のお粥を私が食べようと思い、紅鮭か玉子かどちらにするか相原君に聞いたら、彼は紅鮭を選んだので、思わず私は、


「やっぱりね……」


 と呟いてしまった。なぜなら、悠斗も相原君も甘い物が苦手で、もし悠斗だったら迷わず紅鮭を選ぶと思ったから……

 すると、相原君はすぐに「やっぱりって?」と聞いてきたけど、悠斗の話をするわけには行かないから、私は「何でもない」と言ってごまかした。


 ベッドで相原君が食べられるように、彼の膝の上にトレイを乗せようとしたら、


「僕もそっちで食べるよ」


 と彼は言い、おもむろに掛け布団を剥いだ、のだけど……


「きゃっ」


 思わず私は悲鳴を上げてしまった。だって、普通は見てはいけないものを、見てしまったんだもん。

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