委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
 それは……彼のパンツ。一瞬だったけど、しっかりと私は見てしまった。紺色のトランクスタイプのそれを。

 そして、すぐに私は思い出してしまった。悠斗も、そんなようなパンツを履いていた事を……


「ご、ごめん。向こうを向いててくれる?」

「う、うん……」


 相原君は、すぐにグレーのスウェットのパンツを履き、私の向かいに座った。


「ごめんね、変なモノ見せて……」

「う、ううん」


 相原君が変な言い方をするから、私は余計に恥ずかしくなって顔が熱くなってしまった。そしてその時あたりから、私の中で変なスイッチが入ってしまったような気がする……


 二人でお粥を食べ始めたのだけど、下を向いて食べていると、相原君の顔は見えずに声だけが聞こえるわけで、その声は悠斗とそっくりで、まるで悠斗とこうしているような錯覚に陥ってしまう。

 1年前のあの頃に、タイムスリップしたかのように……


 お粥の味も、自分が何を言ってるのかも分からないほど、私は倒錯した世界にはまってしまっていたと思う。そんな私を現実に引き戻そうとしたのは、相原君の次の一言だった。


「ごちそうさま。美味しかった……」


 その言葉は、相原君が相原君である事、つまり私がかつて愛した悠斗ではない、という事実を主張しているようだった。でも私はその主張を拒み、断固受け入れたくなかった……

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