委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
 翌日、クーラーの効いた部屋で僕は一人で勉強をしていた。あれから、桐島さんから連絡はない。僕からも、それをしたい気持ちは強いのだけど出来ずにいた。昨日の事を何て言っていいのかわからないからだ。


 不意に部屋のインターフォンが鳴った。それは誰かの訪問を意味するもので、僕はとっさに桐島さんが来てくれたのかと思った。

 僕としては急いで、と言ってもおそらく傍目にはヨロヨロという感じだろうけども、立ち上がってインターフォンに出た。期待でドキドキしながら。


「どちらさまでしょうか?」

『真琴です』


 なんだ、真琴さんか……

 元気そうな真琴さんの声を聞き、逆に僕は期待に膨らんだ胸が一気に萎んでいくのを感じた。


『もしもし?』

「あ、はい」

『開けてくれる?』

「は、はい」


 僕は一瞬遅れて解錠のボタンを押した。


『もう……』


 真琴さんは怒ったように呟いた。何に対して怒ったのかはわからないけれども。

< 116 / 227 >

この作品をシェア

pagetop