委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
「暑い暑い……」


 真琴さんは、部屋に入るなりそう言っておでこの汗を手の甲で拭った。たしかテレビで連日猛暑日だと言っていたっけ。エアコンが効いた部屋から一歩も外に出ていない僕には、今ひとつピンと来ないのだけど。


「何か冷たい物でも飲みますか?」

「もちろん。あ、いいよ、自分で出すから」


 真琴さんは動こうとした僕を手で制し、きびきびした動作でキッチンの方へ行った。彼女は昨日もここへ来たらしいから、冷蔵庫の場所なんかは分かっているようだ。それにしても……

 真琴さんはスリムでボーイッシュだけど、女の子には違いないわけで、ショートパンツからすらりと伸びた白い脚が艶かしい。もちろん変な気は起きないにしても僕も男なわけで、真琴さんに危機意識はないのだろうか。


「このまま飲んじゃっていい?」

「あ、はい。どうぞ」


 真琴さんは緑茶のペットボトルを手に持って戻ると、ソファーにどかっと座って長い脚を組んだ。そしてペットのキャップをプシュっと開け、ゴクゴクという感じで緑茶を飲み、


「あー、美味しい。ねえ、あれからどうだった?」


 僕を見上げてそう聞いてきた。いかにも興味津々という感じに、大きな目を輝かせながら。

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