委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
 真琴さんは少し、いや、だいぶ違う質問をしてきた。下ネタめいた質問で僕をからかうつもりだと思っていたのに、思い出すって何のことだろう……


「ねえ、どうなの?」


 無言の僕に、真琴さんは体を前にのり出すようにして聞いてきた。しかもひどく真剣な顔をして。


「質問の意図がわからないよ。思い出すって、例えばどういうこと?」

「そんなの、玲奈さんのことに決まってるじゃない」

「桐島さんのこと? ん……ますます意味がわからない」

「何もなの?」

「うん。というか、何のことか逆に教えてくれないかな。気になるからさ……」


 真琴さんが何を言いたいのか、しかも桐島さんにかかわる事となると、逆に僕の方が知りたくなり、そう言ったのだが、


「なんだ……」


 と言って真琴さんはあからさまに肩を落とし、ソファの背に背中を付けて黙り込んでしまった。


「真琴さん……?」


 名前を呼んで少し待つと、真琴さんは気を取り直したかのように背筋を伸ばし、口を開いたのだが……


「薬、飲むの止めなよ」


 予想外というか、突拍子もない事を言い放った。

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