委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
 阿部君は僕の真後ろの席に座っている男子で、彼から話し掛けてくれる内に、いつの間にか僕らは仲が良くなっていた。彼は、学校で唯一の友達だ。

 阿部君と僕では、身長こそ同じくらいだけど、それを除けばまるで正反対。僕は自分でも嫌になるほど鈍臭く、根暗で地味だけど、阿部君は活発で、ちょっとガサツなところもあるけど、明るくて友達は多く、しかも成績は学年でもトップクラスの秀才だ。そんな僕らが友達だなんて、正直自分でも不思議に思う。


 その阿部君に、桐島さんとのやり取りを見られていたらしい。


「ま、相手は“アイスクイーン”だからな。振られて当然さ」

「アイス……何?」

「“クイーン”だよ。つまり“氷の女王”さ」

「桐島さんが?」

「ああ」

「それって……」

「帰りながら話そうぜ?」

「う、うん」


 僕は急いでバッグを肩に掛け、阿部君の後を追うようにして学校を出た。

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