委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
「くっそ暑いな?」

「そうだね」


 夕方近い時刻ながら、衰えを知らない真夏の日差しは容赦なく僕たちを照り付け、たちまちおでこに汗が噴き出すのがわかった。


「もっとも、あと二日我慢すれば夏休みだもんな?」

「うん。それよりさ、桐島さんの事なんだけど……」


 いつもは鈍臭い僕だけど、今は一刻も早く桐島さんの事を阿部君から聞きたかった。


「おお、そうだった。それにしてもおまえ、今日は大胆だったよな?」

「え?」

「文化祭の実行委員に立候補なんかしてさ。ビックリしたぜ」

「ああ……」


 本当は違うんだけど、まあ、いいかな。


「しかもあのアイスクイーンをご指名だもんな。クラス中が度肝を抜かれたんじゃないか?」

「そんな、大げさな……」

「いやいや、大げさじゃないと思うぞ。でも、いいんじゃねえかな。おまえにあんな積極的なところがあるとは見直したよ。でも相手は手強いからなあ。応援するけどよ」

「“手強い”って、どういう事?」

「ん? おまえ、委員長が好きなんだろ?」

「えっ?」


うわあ、そういう事になるのか……

 きっと阿部君に限らず、クラスのみんながそう思ったに違いない。僕が桐島さんを好きなんだって……

……ん?
という事は、当の桐島さんも!?

ひゃー、どうしよう……

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