委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
 待ち合わせた喫茶店に着いたが、桐島さんはまだのようだ。30分後の約束のところを、20分後に着いたのだから当たり前だが。

 平日の昼間だからか、店内はガラガラで好きな所に座れるため、俺はお気に入りの窓際の4人席に座った。そして、店員には連れが来るからと言って水だけをもらい、それを一口ゴクッと飲んで脚を組んだ、のだが……

 おっと、いけねえ……

 俺はすぐに組んだ脚を解き、背筋を伸ばして姿勢を正した。薬を飲んでた頃の俺は、確かこんなように座っていたと思うからだ。


 俺は、取り敢えずは桐島さんに何も言わないつもりでいる。つまり、今までは妙な薬を飲んでいて体も頭も動作が鈍かった事。そして、今は記憶を失くしているし、顔も変わってしまったが、俺の正体はかつて桐島さんが付き合っていたらしい、田村悠斗である事を……

 だから、体の動きや話し方に気を付けなければいけない。ちょうどおふくろを欺いているように、桐島さんも欺かないといけないのだ。取り敢えず、ではあるけども。


 そうこうしていると、入り口のドアが開き、そこに薄ピンクのブラウス(?)を着た黒髪の少女が現れた。桐島さんだ。これをどう例えれば良いのかわからないが、いきなり花が咲いたような……そんな感じがした。

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