委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
「そ、そんな事、あなたに言う義務はありません」

「義務だなんて、そんな事言わないでよ。僕と桐島さんは友達でしょ? 友達になら、話してくれてもいいんじゃないかな」

「…………」

「捨てられたんだよね?」

「ち、違います」

「じゃあ、桐島さんから別れようって言ったの?」

「それは……」

「違うよね。だったら、捨てられたって事でしょ?」

「違います。彼は……、彼はアメリカへ行ったんです」

「…………えっ?」


 まったく予想もしてなかった“アメリカ”というワードに、俺は度肝を抜かれてしまった。もちろん真琴からそんな話は一切聞いていない。


「な、なんで……」

「留学です。ハーバードか、MITか、分かりませんけど、向こうは秋から1年が始まるから、急いで行っちゃったんです」


 俺が呟いたのは、“なんで桐島さんはそう思ったのか”の“なんで”だったのだが、なるほど、そういう事だったのか……

 なんて、納得してる場合じゃないな。そんなの嘘なんだから。現に俺はこうして日本にいるわけで……

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