委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
「この間は、ごめんなさい」


 私は店員さんが行ったのを確認すると、乱れた息を整え、相原君を真っ直ぐに見てそう言った。果たして彼は、どんな言葉を返してくるだろう。

 “ううん、気にしてないよ” とかだと助かるけど、それはそれで寂しかったり……

 案外、“僕こそ、ごめんなさい” かも。だって、き、キスをしたのは相原君の方からだったもの。私の記憶が正しければ、だけど。なんて、彼のせいにしちゃいけないわね。あれは完全に私のせいなんだから……

 などと色々考えたけど、相原君は私の目をジッと見るばかりで、何も返事をしてくれなかった。相原君は、時々ボーっとしている事があるけど、今はそれで黙っているのではなさそう。だって、彼の眼はいつになく鋭い光を放ち、私を凝視しているから。

 それに耐えられなくなり、私は彼の目を見ていられなくなった。責められてるのかな。なんか、涙が出そう……


「あの日の私はどうかしてたんです。後で思い返したら恥ずかしくて、恥ずかしくて、出来れば相原君には忘れてほしいかなと……」


 沈黙が辛く、そのままだと本当に涙が出そうだったから、私は無理に口を開いて早口で言った。そして相原君の反応を窺ったのだけど、それでも彼は無言だった。やはり相原君は怒ってるんだ。私の事を……


「やっぱり……怒ってる?」

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