委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
「誰にとっての“良かれ”だよ!?」

「そりゃあ、あなたにとっても、あの子にとってもよ」


 おふくろは澄ました顔でそう言った。要するに、まるっきり反省してないって事だ。もっとも、隠そうとしたのだから悪い事という意識はあるようだが。


「勝手に決めんなよ」

「…………」

「正直、俺には記憶がないから、どうだったのかは解らないけど、彼女はそれで苦しんだんだ」

「そんなの、どうせ一時的なもの……」

「ふざけんなよ! 何が一時的だよ! 知りもしないで。彼女は、それ以来笑わなくなったんだ。1年経った今でも。そして今でも、田村悠斗からの連絡を待ってるんだぞ」


 おふくろは、今ので明らかに動揺したようだ。少しは解ってくれたのだろうか。


「だって、今どきの子だから、すぐに他の男を……」

「彼女はそんな子じゃない。おふくろも会ってるから、解かると思うけど」

「…………ごめんなさい」


 ようやくおふくろは謝罪の言葉を言い、俯いて目頭を指で押さえた。

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