委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
「な、何言ってるの? あなたが“相原君”でしょうに……」


 私は内心の動揺と後ろめたさを隠し、そう言ったのだけど、


「じゃあ聞くが、“相原君”が俺だと気付いたのはいつだ?」

ドキッ

「そ、それは……今日です」

 一瞬、嘘をつこうかとも思ったけど、それは嫌なので正直に答えた。


「なるほど。という事は、それまでは“相原君”とくっ付いてたわけだよな?」

「くっ付いてなんて……」

「真琴の話じゃ、かなりな仲だった事になるよな?」

「わ、私は……」

「なんだよ」

「“相原君”に悠斗の面影を見てたのよ。だって、声は同じだし、背格好も歩く姿も、悠斗そっくりだから……」


 やだ、涙が出て来ちゃった……


「ごめん」


 私が俯いて鼻をすすっていると、頭に悠斗の大きな手がそっと乗せられた。


「要するに俺たちは、記憶を失くし、顔が違っても、惹きつけ合ったって事なんだよな? 運命の赤い糸で結ばれてんのかもな?」

「う、うん」


 悠斗は私の肩を引き寄せ、私は素直に彼の肩に頭を預けた。悠斗はもう怒ってないようで、良かったなと思ったのだけど……


「でも、気になるんだよなあ」

「なにが?」

「玲奈はさ……“相原君”とエッチしたのか?」


 いきなりそんな事を言われ、私はびっくりして悠斗の肩から頭を離した。


「してないわよ! するわけないでしょ?」

「そうかあ? じゃあ、キスは?」


 もしかして、悠斗ったら本当は憶えていて、私をからかってるんじゃないのかなあ……

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