委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
 二人はそのまま手をつないで教室に入ったから、クラス中の注目を浴びたのは言うまでもない。


「悠斗の席はここだから」

「おお」

「ちなみに俺はここ」


 俺は、相原の席のすぐ後ろの席を指さした。


「なるほど。よろしくな、阿部」

「お、おお」


 なんか、調子が狂うなあ……


「玲奈の席はそっちかよ? 俺の隣に来いよ」


 いや、それは無理かと……

 相原が大きな声で言うから、クラスみんなの視線が一斉に桐島さんへ向き、可哀想に桐島さんは、顔を真っ赤にして泣きそうだった。ただでさえ眼鏡を外して可愛くなって、注目を浴びてるというのに……

 これで“アイスクイーン”の名も返上だな。



「ねえねえ、どうなってんのよ?」


 クラス中が相原と桐島さんの変貌に驚いているが、中でも一番驚いたのはこいつかもしれない。俺の隣の席の、渡辺沙織だ。沙織は桐島さんと2年の時も同じクラスで、唯一彼女と仲が良かったそうだからな。


「相原君と玲奈、ラブラブに見えるんだけど?」

「実際、そうだからな」

「夏休みに何があったの?」

「ま、色々あったんだよな」

「もったいつけないで、言いなさいよ」

「そうだなあ。じゃあ、帰りにまた喫茶店へ行こうぜ。あの二人も一緒に」

「いいけど、早く知りたいなあ……」


 その日はかったるい始業式の後、簡単なホームルームをして解散となった。「これから玲奈とデートだから」と嫌がる相原を、長居はしないからと説得し、俺たち4人は、前に桐島さんを除いた3人で行った駅前の喫茶店へ行った。

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