委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
「阿部君、出番って……?」


 何の出番なのか、僕にはさっぱり分からなかった。


「頑張れよ」

「え?」

「あたしも期待してます」


 渡辺さんまでそんな事を言い、僕を真剣そうな目で見つめた。でも、何を頑張ればいいのか、何に期待しているのか、僕にはさっぱりなわけで……


「あの、出番とか、頑張れとか期待してるとか言われても、何の事かさっぱり分からないんだけど……」

「はあ? この流れでわかんねえの?」

「う、うん……」

「しっかりしてよ、相原君。ズバリ言おうか?」

「お願いします」

「あなたにはね……玲奈の恋人になってほしいの」

「…………こ、恋人!?」


 びっくりして阿部君を見たら、しっかり頷かれてしまった。阿部君も渡辺さんに同意という事らしい。


「な、なんで?」

「そりゃあ決まってるだろう。“人は愛に傷つき、また愛に癒される”だ」

「あら、名言ね。誰の言葉?」

「ん? 俺だよ。今考えたばっか」

「へえー、やるわねえ。見直したわ」

「見直したって何だよ? 俺はこう見えても人情家なんだぞ。情けに厚いわけ。このかき氷のように凍り付いた委員長の心を、なんとか解かしてあげたいなと思うわけよ。そして彼女に再び笑顔を……」

「あ、あの……」


 放っておくとこの二人の会話はずっと続きそうで、僕は仕方なく割って入った。そして、


「意味はわかったんだけど、どうして僕なのかな?」


と、素朴な疑問を言ってみた。

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