委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
「だったら問題ないじゃないか。取り敢えず付き合ってみろよ」

「でも、僕なんかじゃ付き合ってくれないんじゃないかと……」


 そうなのだ。そもそも僕の気持ち以前に、そっちの方が遥かに重要だと思う。


「なんだよ。もっと自分に自信持てよ」

「そんな、自信なんて……」

「あたしも、相原君は自信持っていいと思う」

「渡辺さん……?」

「相原君は大人し過ぎるところはあるけど、優しいし真面目だし、顔だって結構イケてると思うわよ?」

「そ、そんな事ないって……」

「いや、いい顔してると俺も思うよ。整い過ぎて作り物みたいだけどな」


 そんな風に自分の顔の事を人から言われたのは初めてだと思う。もちろん自分ではそんな風には思えなかったけど、桐島さんに接近を試みる事は承知せざるをえなかった。自分でも、ちょっと頑張ってみたいかな、とも思ったし……


 すぐに夏休みに入るから、行動するのは夏休みが終わってから。互いに文化祭の実行委員という立場を最大限に利用して……、という事になったのだけど、まさか数日後から始まるなんて、この時の僕は知る由もなかった。

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