委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
 桐島さんと僕は、駅前の喫茶店に入った。先日、阿部君や渡辺さんと行った喫茶店と似た雰囲気の店だ。そして店員さんの案内で、僕らは窓際の2人用のテーブル席に向かい合わせで座った。


「どのフラッペにしましょうかね?」


 メニューを広げながら僕がそう言うと、桐島さんがフッと笑った気がした。でも、顔を上げて桐島さんを見たら、彼女はちっとも笑ってなくて、むしろ怒ったような顔をしてるから僕の勘違いだったようだ。


「フラッペ限定なの?」

「え?」

「私、フラッペってあまり好きじゃない。頭が痛くなるから」

「……そ、そんな事ないです。何でもいいと思います。フラッペは、たまたまこのあいだ友達と食べたので……」

「友達?」

「はい。阿部君と渡辺さんです」

「渡辺さんって……沙織さん?」

「あ、はい」

「相原君は沙織さんと友達なの?」

「えっと、はい。正確には友達の友達、ですかね。友達の阿部君が渡辺さんと仲がいいんです」

「そうなんだ……」


 と言ったきり、なぜか桐島さんは黙り込んでしまった。もしかして、渡辺さんの名前を出したのはまずかったのだろうか……

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