委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
「あの、僕の声ってそんなにいいですか? 落ち着く感じですか?」

「うん。でも、落ち着く感じじゃないわ。むしろザワつく感じ……」

「あ、そうなんですか……」


 と返したものの、ザワつく感じがどういうものなのか、僕にはイマイチ解らなかった。

 あ、そうだ。桐島さんの真似して僕も白状しようっと。


「僕も白状していいですか?」

「どうぞ?」

「実は僕、文化祭の実行委員に立候補したつもりはないんです」

「え、そうなの? でも相原君、あの時立ち上がったよね?」

「はい。ですがあれは、そういう意味じゃなかったんです」

「だったら、どうして……」

「何日か前、急に土砂降りの雨が降ってきた時、桐島さんと会ったじゃないですか?」

「う、うん、そうね」


 僕があの雨の日の事を言ったら、桐島さんは、なぜか顔を曇らせた。微かに、だけども。


「僕、あの時の桐島さんが桐島さんだって、知らなかったんです」

「え? どういう事?」

「あの時の桐島さんは眼鏡を掛けてなかったし、前髪が濡れて顔に掛かったりで、学級委員長の桐島さんとは思わなかったんです」


 本当は委員長としての彼女も知らなかったのだけど、さすがにそれを言ったら怒られると思って言わなかった。

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