委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜

　次の日の朝、田村さん父娘が僕らのマンションまで迎えに来てくれた。


　僕は初めて会ったのだけど、お父さんの田村さんは、年令はたぶん母と同じくらいだろう。背は僕と同じくらい高く、がっちりした感じで体格が良い。顔はやや日焼けしていて男らしく、言ってみれば“ナイスミドル”という感じの男性だ。


　一方、“真琴”と名乗った娘さんは、一言で言えばボーイッシュだ。髪は黒髪でショートカット。スマートな体つきで、もし事前に娘さんと聞いていなければ、おそらく男の子と勘違いしたと思う。歳はいくつぐらいだろう。中学、あるいは高校生だろうか……


　挨拶もそこそこに、僕らは田村さんの車に乗り込んだ。何という車かは知らないけど、ワンボックスより車高が低く、しかし普通のセダンよりは高い大きな車だ。


　母は助手席に乗ったので、必然的に僕は後部座席に乗る事になり、つまり隣は娘の真琴さんだ。


「では、出発するよ」


　田村さんの、敬語ではない砕けた感じの言葉と共に、車は静かに走り出した。