委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
車が走り出してしばらくしても、隣の真琴さんは無言だった。今日は機嫌が悪いのか、あるいは普段から無口な子なのか……
助手席に座った母は、時々後部座席の僕らを気にする素振りを見せた。“話ぐらいすれば?”という事かもしれない。という事で、僕から真琴さんに話し掛ける事にした。
「僕は高校の3年なんだけど、真琴さんは……?」
「…………」
あれ、返事がない。聞こえなかったのだろうか。
「あの、真琴さんは……」
「2年です」
「あ……」
「高校の。だから、さん付けしないでください」
「え? というと……」
「“真琴”って呼んでください」
「そ、それはちょっと……。初対面なのに、いきなり呼び捨ては……」
と言うと、真琴さんはプイと横を向いてしまった。ずいぶん怒りっぽい子のようだ。
母に目をやると、僕と真琴さんのやり取りに気付いてないのか、黙って前を向いていた。そう言えば、母と田村さんにも会話がないような気がする。
せっかくの旅行なのに、みんなどうしたんだろう、と思っていたら、
「ところで、悠斗君に彼女はいるのかな?」
田村さんがチラッと後ろに目をやり、大きな声で言った。
助手席に座った母は、時々後部座席の僕らを気にする素振りを見せた。“話ぐらいすれば?”という事かもしれない。という事で、僕から真琴さんに話し掛ける事にした。
「僕は高校の3年なんだけど、真琴さんは……?」
「…………」
あれ、返事がない。聞こえなかったのだろうか。
「あの、真琴さんは……」
「2年です」
「あ……」
「高校の。だから、さん付けしないでください」
「え? というと……」
「“真琴”って呼んでください」
「そ、それはちょっと……。初対面なのに、いきなり呼び捨ては……」
と言うと、真琴さんはプイと横を向いてしまった。ずいぶん怒りっぽい子のようだ。
母に目をやると、僕と真琴さんのやり取りに気付いてないのか、黙って前を向いていた。そう言えば、母と田村さんにも会話がないような気がする。
せっかくの旅行なのに、みんなどうしたんだろう、と思っていたら、
「ところで、悠斗君に彼女はいるのかな?」
田村さんがチラッと後ろに目をやり、大きな声で言った。