委員長に胸キュン 〜訳あり男女の恋模様〜
 僕の携帯が着信するのは珍しい事だ。時々携帯会社から何かの知らせが来たり、後は稀に母から来るぐらい。その母は目の前にいるわけで、となれば携帯会社からかな、と思っておもむろに取り出してみたら……

 なんと、桐島さんからのメールだった。僕から送った事はないし、彼女から来たのもこれが初めてだ。


 緊張と、若干興奮しながら開けてみると、こんな内容のメールだった。


『こんにちは。お元気ですか?
また教えてほしい問題があるのですが、どこかで会えないでしょうか?』


 なるほど、そういう事か……
 でも、今は避暑地に来てるから無理なわけで、どう返事すべきだろうか。二泊三日の予定だから3日後、いや、帰ったその日の明後日に会う事にしようか。一日でも早く、彼女に会いたいから……


 ん? ちょっと待て。僕はすっかり桐島さんと会う事ばかり考えてるけど、彼女にとってそれはメインではないはず。メインは、おそらく数学の問題を解く事だろう。

 それに気付き、僕はこんな風なメールを打って返信した。


『こんにちは。僕は元気です。
今僕は二泊三日で旅行中です。なので会えないのですが、どの問題ですか? 塾の数学のテキストなら持って来てるので、答えられるかもしれません』


 ドキドキしながら待つと、少しして再び携帯がブルブルと震えた。

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